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ボート競技について

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教職員 : 2013/08/30




ボート競技の見方・楽しみ方

1.競技種目の紹介
 日本ボート協会の競争規則による公認種目は10種類ありますが,インターハイで行われるのはその中の3種目です。ボート競技自体はスカル種目(片手に1本ずつ2本のオールで漕ぐ)に加えエイトやフォアといったスイープ種目(両手で1本のオールを漕ぐ)があり,インターハイでは以下の3つのスカル種目で競技を行います。
シングルスカル
 数多くあるボート競技のなかでも唯一の個人種目です。レースの勝ち負けの責任はすべて自分自身にあり,練習もどの種目よりも自立して取り組まなければなりません。一人で1,000mの距離を漕ぎ続けるのはきつく孤独なものですが,その分勝ったときの嬉しさもひとしおです。

シングル

ダブルスカル
 何よりも2人のコンビネーションが大切な種目です。2人の息が合えば,個人の実力以上の速さを出すことができます。漕ぎ手がクォドルプルに比べて半分になりますが,舵手がいない分スピードに関しては,舵手つきクォドルプルと比べてもそれほど大きな差はありません。

ダブル

舵手つきクォドルプル
 舵手つきクォドルプルは,槽手が一番多く,高校のボートでは花形競技と言われています。最もスピードがでる種目であり,4人の漕ぎがピタッと合うとさらにスピードが増し,見た目にも大変美しいものです。
 舵手(コックス)は艇の舵取りをする役割で,唯一進行方向を向いています。インターハイではクォドルプルという種目にのみ舵手がつきます。各シート(ポジション)の名称は表のとおりで,一般的にはそれぞれのシートに次のような役割が期待されています。

クオード

シート(記号) C : 名称 COX,コックス,舵手
 実際には舵を切り方向を調整するだけではなく,クルーの調子をうかがいながら指示を出したり掛け声をかけたりする司令塔のような役割を果たします。競漕相手と駆け引きをしながら,状況を冷静に判断し,勝負どころではスパートのタイミングをクルーに指示する大変重要なポジションです。
シート(記号) S : 名称 Stroke,ストローク,整調
 名前のとおりクルーの調子を整える役割ですので,正確で速いリズムで漕ぎ続けることが期待されます。レースレートを決め,後ろの3人はストロークのレートや漕ぎに合わせて漕ぎます。
シート(記号) 3 : 名称 3番(さんばん)
 一概には言えませんが,ボートのエンジン役として期待されています。クルーの中でもパワーに優れた槽手が乗ることが多い。
シート(記号) 2 : 名称 2番(にばん)
 一概には言えませんが,ボートのエンジン役として期待されています。クルーの中でもパワーに優れた槽手が乗ることが多い。
シート(記号) B : 名称 Bow,バウ,軸手
 艇が上下動するポジションなので,器用で上手な選手が期待されます。またクルーの一番後ろに座ることもあり,後ろからの声かけ役など,精神的な支え役も期待される。

2.競技方法
(1)競漕距離とタイム
 インターハイの競漕距離は1,000mです。国内では国民体育大会も1,000mで争われていますが,世界的にはボートレースは2,000mが主流で,オリンピックや世界選手権,全日本選手権といった大会では2,000mで争われます。ただし,コースによっては500mといったスプリントレースもまれに行われます。
 ボート競技のタイムは,その時の風や波,水の深さなどにより大きく左右されますので,公認の記録制度はありません。男子舵手つきクォドルプルでの優勝争いは清水無風状態の場合3分10秒前後,男子ダブルスカルでは3分15秒から20秒,男子シングルスカルでは3分35秒前後で争われるようです。女子は男子に対して25秒ほどのタイム差があります。
(2)レーン
 大会ではほとんどのレースを5杯レースで行いますが,予備のレーンとしてコースには6レーンが設けられています。1つのコースの幅は約13.5mです。漕いでいる最中にオールがブイにあたらないようコースの真ん中をうまく漕がなければいけません。また他のコースに入ると審判艇から注意を受け,さらに他のクルーの進路を妨害した場合は失格になることがあります。
(3)発艇(スタート)の要領
 スタート位置には,艇をスタート位置に固定するためにステイクボートが設置されています。艇をつかむ補助員をウォーターマンといいます。発艇員(スターター)が「アテンション」・「ゴー」の号令をかけ,全艇が発艇(スタート)します。
(4)勝敗
 ボートは陸上競技と同じように,決勝ライン(ゴールライン)を通過した順番に着順が決定されます。競技の途中でレーン侵害や接触等があると,そのクルーは除外や失格になる場合があります。大きく水があくときもありますが,写真でしか判断がつかないような時もあります。1/100を競り合っているときの残り100mのデッドヒートは競技の見どころです。

練習

3.レースの見どころ
Start〜200m
 スタート直後,各クルーはハイレートで漕ぎ出しますが,これがスタートダッシュ(スタートスパート)です。ボートはコックス以外,後ろ向きに進む特殊な競技の多ため,少しでも前に出た方が相手を見ながらレースができ,精神的にも優位に立てます。したがってスタートダッシュでどれだけ他の艇より前へ出るかは,レース展開上重要なことになります。
200m〜800m
 次に他のクルーの様子などを見ながらレート(動作のリズム)を落としてコンスタントへ入ります。これをセルとダウンといいます。1,000mのうち,このコンスタントのリズムでもっとも長い距離を漕ぎます。したがって年間を通して,練習に最も費やすこととなるのが,このコンスタントの強化です。コンスタントの大部分は有酸素運動で,長い時間最大の出力を出せるように選手は日々努力します。コンスタントで漕ぐのは,レースでは3分ほどですが,これまでの選手たちの努力の結晶が詰まっています。
800m〜Goal
 レース展開や作戦によって異なりますが,およそラスト200m付近から,リードされているクルーは差を縮めようと,リードしているクルーはさらに水をあけて勝負をつけようと懸命に力漕します。これがラストスパートです。10cmを争うような接戦になると,スパートは極めて重要な作戦になります。ここにおける選手の気持ちは,実際に味わった者にしか分らないと思いますが,全身に残っている全てのエネルギーを出しきろうとする気持ちは,すべてのアスリートに共通します。

4.ボート競技の魅力
 ボート競技は日本ではまだまだ認知度が高くない競技かもしれませんが,欧米では非常に人気が高く長い歴史を持ったスポーツです。ボート競技で具体的に目指すことは“仲間と一緒に競争に勝つ”という非常にシンプルなことです。しかし,それを実現する過程で体得されるもの,“仲間からの信頼,仲間に対する信頼,そのためのトレーニング,自己努力,責任,規律,等々”こういった諸々の事柄を一つの言葉で表現したものが“Oarsmanship”です。このようにOarsmanshipはボートの内面的基本であり,ボート生活を通して身体で覚えていくものですが,その結果として,健全な成人の充実した生活のために大切なものが得られるので,世界的にボートが大切にされて今に至っているのです。
There's more to life than rowing - but not much - Donald Beer
ドナルド・ビア氏は,メルボルンオリンピックの男子エイトで金メダルをとったエール大学のクルーの1人で,その後経営者として成功し名を残した方です。充実した人生を送っている人の心からの実感がよく出ています。
「人生にはボート以上のことがたくさんある。だけど,それほど多くのことはないよ。」長い人生を送ってきて,結局ボート以上のことはそうないよということですが,Oarsmanshipの集大成になっているようです。「一艇ありて一人なし。」ボート競技で昔から語り継がれている言葉です。個人の能力も大切ですが,クルーの息が合わないとどんなに力漕してもバランスを崩し,艇は曲がり,速度は出ません。シングルスカルの選手でも,これまで一緒に練習してきた仲間や監督の気持ちをオールに乗せて力漕します。個人でもあり,同時にチームでもある。それがボート競技の最大の魅力になっています。
 野球やサッカーのように,個人的な離れ業やファインプレーというもののないスポーツです。スタートをしたら試合中は仲間の顔を見られない分だけ,お互いを信じてゴールまで全力疾走するしかありません。レース中は,特に漕ぎ方に複雑な変化をつけるわけではなく,ただひたすら同じ動作を繰り返す。逆にこの「仲間を信じてひたすら漕ぐ」姿勢がボート競技の魅力になっています。

インターハイ1

インターハイ2



5.ボートアラカルト
○3大大会
 全国高等学校選抜ボート大会(3月)
 全国高校総体(8月)
 国民体育大会(9月)
○その他の大会
 朝日レガッタ(5月)
 県高校総体(6月)
 四国高校総体(6月)
 国民体育大会予選(7月)
 新人戦・全国選抜予選(10月)
 全国マシンローイング大会(11月)
 全国通信制エルゴ大会(11月・2月)
○ボート用語
 バウサイド・・・・・・・槽手の左側
 ストロークサイド・・・槽手の右側
 リギング・・・・・・・・・艇やオールの調整
 レ−ト・・・・・・・・・・・1分間に漕ぐ本数,ピッチともいう
 バックロウ・・・・・・・槽手の前方へ進む漕ぎ
 ロールコール・・・・・レース前にレーンナンバーと選手名がコールされる
 クイックスタート・・・・ロールコールなしでレースが始まる
 エルゴメーター・・・・陸上でボートの漕ぎを体験できるマシン

※第61回 全日本高等学校選手権競漕大会パンフレットより抜粋

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